水とつながる時間を、もっともっと長く。

ブレードが水の中に入っている時に、

初めて力が伝わり、船が進む。

だからこそ、強く漕ぐ中でも、

その前提として、できるだけ長い時間、ブレードを水の中に入れておきたい。

 

エントリーで、ブレードを蹴り戻さないこと、

リリースで、ブレードを途中で引っこ抜かないこと。

長く押すために

重要なのはこの2点で、

ボートの技術はそれぐらいなんじゃないかと思っている。

戻さないこと。

途中で切らないこと。

 

そのために必要なのは、精神的な部分と技術的な部分。

精神的な部分は、漕ぎ急がないこと。

強く漕ごう、速く漕ごうと思えば思うほど、

ブレードが入る前に焦って漕ぎ始めてしまい、

蹴り戻る。

そしてまだ水と繋がれる時間があるのに、

フォワードで遅れたくないので

途中でブレードを抜いてしまう。

速く漕ごうとして、してしまう行為が原因で、

結果、速くならないという結果になってしまう。

 

特にスタートなどの超ハイレートの時は、

どうしても前の人に遅れないように遅れないようにと、

途中でドライブを切って、オールを抜いてしまう。

オールを引っこ抜くという行為は、

船を真下に沈める行為でもあり、

力の発揮が伝わらないだけじゃなく、船の抵抗も増やす。

艇の上下動は、次のエントリーをより難しくするので、

いろんな点で、引っこ抜くという行為は、

したくなるけどしてはいけない行為。

 

技術的な部分は、

そうした引っこ抜く行為をしない、予防するために、

セットを速くすること、滑らかにすること。

フェザーターンを滑らかにすること。

これらを滑らかに速くして浮いた時間だけ、

より長く押せる。後ろまで後ろまで、より長く繋がっても、

次のエントリーに間に合うようになる。

 

逆にセットが遅い、ゆっくりで曖昧であればあるほど、

フェザーターンが強引であればあるほど、

レートをだそうとすると、ブレードを途中でひっこ抜いて

ショートカットしないとレートが出ない。

結果進まないし、沈むしうるさいし、

何故かその後のフォワードが速すぎてしまって

到着が早すぎてしまい、エントリーが止まる、蹴り戻る。

そんな悪循環が始まる。

 

セット、腰を立てる、エントリーの準備をなるべくスムーズにする、ということが、

めちゃくちゃ大事にも関わらず、ぱっと見、良くわからない。

世界選手権で優勝するようなクルーを見ても、

セットが早い、とか、遅いとか、

判断できないぐらい、セットの角度、腰の角度というのは非常に見にくい。

でも確かに上体の角度が変わらないまま、エントリーに向かうので、

何度も何度も見て、やっとわかる。

結構早いわ。と。

 

小柄な選手ほど、

水の中を長く押さないと、勝つことはできない。

短く押して勝てるのは、大きな選手か、すごいパワーのある選手だけ。

だからこそ、絶対に戻らないエントリー、

まだ押し続けるリリースを技術として手に入れる必要がある。

その時間的余裕、水の中にいる時間を増やす分、

必ず減ることになる空中の時間をできるだけ

滑らかに、特にセットとフェザーターンをできるだけ

滑らかに、速く、する必要がある、と思っています。

オールが2000mぐらいの長さなら、一本の強さだけを求めればいいのだけど、

必ず空中の時間が1レース240回ぐらいあるので、

空中の時間をいかに減らして水の時間を増やすか、

滑らかにするか、その短い空中の時間の中できっちり休むか、

それが奥深きローイングの話になります。

 

水とつながる時間が長いこと、

かつ、その中でできるだけ強く漕げるようになれば、

必ず速い船ができると思います。

水との繋がりが、エルゴ とは全く異なる部分。

強く引くことが最重要のエルゴ と、

つながりの中で強さを求めるボートの違い。


あと1ヶ月。

特にもうすぐ引退してしまう4年生が、ボートと出会えて楽しかったと、

良かったと、より思ってくれるように、

以上のようなことを、

もっと短い言葉で時間で

わかりやすく伝わるように、頑張ろうと思います。

 

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