コーチをしていて
「中野さんのお陰で勝てました!」
とか
「コーチのお陰です!」
って言ってくれることが増えてきたんだけど、
それはそれで嬉しいことなんだけど、
ぜひぜひ99%ぐらいはお世辞であって欲しいと思っている。
特に大学生が4年間で学ぶことといえば、
「自分の足で生きていけるようになる」とか「自律」だと思っているので、
もし万が一、「中野がいなかったら何もできない」とか「中野がいなかったら負けていた」っていう意味での「中野さんのお陰で!」だったら
それは困るなあと思う。
警察や弁護士のように
いなくても回るのが最善な世の中なのであれば、
コーチも同じように、最終的にはいなくても
選手自身が自分で問題点を見つけ、解決して、
成長していくことができれば、
1番良い状況だと思うのです。
だからコーチのゴールは
「自分自身の存在意義を無くすこと」であり、
選手が良い結果を残せば残すほど、
中野は「俺がいるからだ、ワハハハハ」と思ってはいけないのです。
もちろん「中野さんのせいで負けました」は職業柄1番作ってはいけない状況なんだけど、
「中野さんのお陰で勝てました」も職業柄作っていいのかわからない状況。超微妙。
なので、最も側にいてほしいであろう時間帯であるレース直前に中野はいません。
私から声を掛ける言葉がもうないということもありますが、基本的にレース直前に声を掛けたりアドバイスはしません。
ただ艇の整備や「思い出係:係長」として写真撮ってたり自分のレース出てたりするだけです。
それは、最後は自分で考えて決めて戦って勝つ、みたいな経験を学生自身でしてほしいから。
結局、自分の人生を切り拓くのは自分自身。
自分の力で成功したり失敗する権利をコーチは奪っちゃいけない(中野が成功させられるかどうかは別として)
数年後、このブログを読み直して、
「まじ3流のコーチだったわ笑」って感想を言うかもしれないけど、
今はそう思っています。
学生の皆様、とても良いレースをありがとうございました。
(photo by 思い出係:係長 中野)
コメント
初めてコメントいたします。興味深く読ませていただきました。きっと中野さんのお人柄があらわれたブログなんだろうな〜と思います。
>>特に大学生が4年間で学ぶことといえば、
「自分の足で生きていけるようになる(※自立?)」とか「自律」だと思っているので、
確かに「自律」ということは大事ですが、同時に誰かに頼れることや誰かに助けてもらうことも同じくらい重要なことなんじゃないかなと思います。大学のボート部に所属する中で、ある種の自律(自立?)観にがんじがらめにされているそういった選手や組織も結構あって、大学以降のスポーツの課題でもあるのではと思います(自分自身もそそういったものに苦しんだ経験から)。
そういう意味で、
>>コーチも同じように、最終的にはいなくても
選手自身が自分で問題点を見つけ、解決して、
成長していくことができれば、
1番良い状況だと思うのです。
だからコーチのゴールは
「自分自身の存在意義を無くすこと」であり、
選手が良い結果を残せば残すほど、
中野は「俺がいるからだ、ワハハハハ」と思ってはいけないのです。
・・・ということには少し疑問を感じることがあるのも正直なところです。確かに存在意義がありすぎることによる弊害は大きなものがあると思います。一方で選手にとって自分の感覚や考えを相対化してくれるコーチの存在の意義が過小評価されるべきではないと思います。
選手の自立することや競技を楽しむということが、どういうことかが問われるべきことだなと思うのです。
選手がより良い競技生活を送る上で中野さんの問題提起はとても大事だと思います。一方で、元オリンピアンでコーチとしても素晴らしい成績を残されている中野さんの考えは、権威になってしまう傾向もあると思います(だから心ないコメントも出てくるのでしょう)。これは、グレーなことに真摯に向き合う中野さんの思考が白か黒かで考えられてしまうということです。個人的にこの白か黒かという思考がローイング界は多いなぁと思います。
こうしたことは中野さんの考えにもそぐわないだろうと感じたのでこのように投稿させていただきました。
これからの発信も楽しみにしています。