ローイングのコーチをするにあたって、
何より大事なのは、選手が
「はやく試してみたい。やってみたい」と思ってくれるような、
仕組み、言葉がけ、技術的なアドバイス、イベントづくりをすることなんじゃないかと思っている。
「明日なんかこなくていい」と思う毎日は本当にもったいないし、
そんな状態で明日を迎えても良い結果がでるとは思えない。
「早く来ないかな、明日」と思えるような、
そんな毎日を作っていけたらと思う。
正しさの提供じゃなくて。
中々にローイングの世界は厳しく、
単調になりがちで、修行の域に入りがちだけど、
その単調さ、修行の域を笑って過ごせるか、
苦痛としてとらえるかは、人間の工夫次第だと思う。
高橋尚子選手を育てた小出義雄監督が
「あ~また強くなっちゃうね、Qちゃん」
みたいに言っちゃうのはそういう意図があったんじゃないかと思う。
私自身、ローイングを初めて最後の1年以外はほとんど苦痛の毎日で、
ローイングとは耐えること、
我慢が正義だと思っていたけど、
おそらくそんな要素は多々あるのだけど、
我慢している自分をもっと楽しめばよかったなあと思う。
そもそも、どんなトレーニングをしたらよいか、
どんなローイングを目指したらよいかわからなかったから、
安易に「我慢=善」として、
唯一の評価基準として臨んでいたんだろうなと思う。
このまだ真っ暗な中でのローイングを楽しめるかどうか。
寒すぎる中のローイングを楽しめるかどうか。
毎日毎日同じトレーニングの繰り返しを楽しめるかどうか。
たぶんこうした捉え方の技術力が、今後の人生にも生きてくるんだろうなと思う。
龍谷大学の井手さんが言う
「つまらないのは世界か、自分か」
という言葉に集約されている。
正しいか、間違っているかは、後で付いてくるもの。
今、わかることじゃない。
今、わかるのは、選手自身が、
「やってみたいか」どうか。
スポーツなんだから、
向上する自分に楽しい毎日であってほしい。
向上する自分を感じられるように。
コメント