誰かに何かを伝える時、特に上の立場で指導する時に、
信頼関係、人間関係は非常に大事だと思いました。
まず学生に、当たり前ですが、
この人はちゃんと明日も来る人だということ、約束を守れる人だということ、
信じた先にいい未来が待っているはずだということ、
そういった信頼、人間関係を築かないで、
ただただ自分の思う正論を振りかざしても、
ただただ空回りするだけだなと思いました。
「誰に言うか、どう言うか、いつ言うか。」
この3つが、本当に微妙な問題で、大きな問題で、
人間関係を作っていく上で非常に大事な問題だと思います。
全日本の時、エイトを2週間ほど見させてもらいましたが、
9人乗っていて、9人に何か言うとしても、
それぞれ選手には、
船の上での人間関係もあれば、
陸の上、艇庫での合宿生活における人間関係もあります。
陸で目立つ選手もいれば、水上で目立つ選手、
どちらも影で支えているような選手もいれば、
どちらも目立っている選手もいる、というのが、
どのチームも同じチーム事情でしょう。
頻繁に会話した方が成長する選手もいれば、
週に一回ぐらいの距離感の方が成長する選手もおそらく当たり前にいるだろうし、
また、誰かに指導している瞬間というのは、
常に誰かを指導していない瞬間であることを、
意識しないといけないなと思いました。
ローイングの指導内容が適切かどうかがもちろん最も重要だと思いますが、
順序や環境、相手、状況、人間関係
そうしたものを含めて、その上で発言しないと、
伝わらないし、私が来るまで育っていた人間関係を壊すことになるかもしれない。
自分がマイナスになることだけはしてはいけない。
技術を伝えるだけでなく、より良いチーム環境を作る。良いチーム環境がなければ、
良い「クルー」「チーム」はきっと育ってはいかない。
良いチームがいい結果を残すとは限りませんが、
良いチームが数年続けば、必ず結果は残ります。
逆に、結果のためにチーム環境を犠牲にすれば、(極端に言えば戦力以外退部)
短期的に結果は出ても、連続していい成績を残すことは
できないのではないでしょうか。
「良いチームで4年間を過ごせた」という幸せが、
卒業後も後輩を応援する原動力になり、
それがまた後輩のエネルギーになると思います。
大学4年間という貴重な時間を捧げた部を、
今後も愛せるかどうかは、インカレの結果は関係ないと思っています。
同期との人間関係、コーチ・先輩・後輩との人間関係、信頼関係が
うまく作れて、初めて、部を愛せるのではないかと思います。
部が好きで、部員が好きで、
あいつが頑張ってるから、俺も頑張る。
その連鎖が成長を生み出します。
だからこそ、自分がローイングの技術的なことを言うときに、
誰に何をどう言うか、
他に誰が聞いている中で、その言葉を発するかが、
非常に大事で、大事だとわかっていても中々難しいことでした。
高い目標を達成するためには、
努力が必要です。汗をかかねばなりません。
その時に、支えてくれる人が周りにいることはとても幸せなことです。
結局レースに出て漕ぐのは自分自身で誰も助けてくれませんが、
その過程に応援してくれる人が同じ方向を向いて、
さらには同じ環境で汗を流してくれることほど貴重なことはありません。
プロは結果が全てですが、
大学の部活において最も必要なのは、
誰よりも強い人間になること、
だけでなく、将来的にたくさんの人間を助けられる人間になること。
だと思っています。
強くなければ生きていけません。
優しくなければ、生きる価値がありません。(レイモンドチャンドラー?)
だからこそ、ボート競技を通じて、
自分の弱さへの自覚、多くの人に助けられた経験を通じて、
より強く、より他人を助けられる人間に
なっていって欲しいなあと強く思います。
全く辻褄の合わない話になりましたが、
今回コーチをさせて頂いて、
技術をいかに伝えるか、その中で、
いかにチームを良くするような言い方、タイミングに気をつけるか、
それが非常に面白くもあり、課題でした。
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