欠けているのは、話し合い

日本代表の選考方針が急遽、変更され

昨日正式に発表されました。

もともと、

「2019年3月に日本代表を決めます」

というシンプルなものだったのが

「来月11月のレースに出てください。出なかったら日本代表になれません。

また、出て上位だったら12月以降の合宿に参加してください、

合宿不参加の場合も代表になれません。もともと予定していた3月のレースで選考します。」

に変更になりました。


もともと

「2019年3月に日本代表選考レースをします」

という話だったので、

11月から2月末まで、イギリスのmolesey boat clubというクラブに

所属する予定でしたが、それが全てなくなりました。


「東京五輪」

という日本に生まれた選手にとってはこの上のない舞台で勝つため、

何度も金メダリストを輩出したことのある国、クラブに行って修行しようと、

いろんな方の協力を得て、イギリスに行き、探して、交渉して、資金援助も何もかもして頂き、

11月からお世話になる予定でしたが、

今回の変更により、全てキャンセルになりました。

 


自分としては、

リオ五輪に出て、15位と惨敗だったので、

100年間オリンピックで勝ったことのない日本で練習するのではなく、

世界で当たり前のように勝っている国、クラブチームで修行しようと思い、

今年、代表活動を辞退して、ボート強豪国へ、

春夏はスロベニアのクラブ、秋冬はイギリスのクラブに所属して

東京オリンピックの出場枠がかかった2019年の世界選手権に臨もう、

3月の選考で勝って来シーズン日本代表になろうと思っていたのですが、

秋冬のイギリスは叶わなくなりました。

確かに全ての人間が海外に行けば必ず強くなるとは言えないですし、

私も先日の国体で4位と惨敗しましたが、

漕ぎ方を大きく変えている過渡期であり、待ってくださいとしか言えません。


みなさん驚くかもしれませんが、

日本の代表合宿といっても、毎年特に変わったことをするわけではありません。

特にコーチから指導があるわけでもありません。

多くの選手にとって、3日に一言二言話すことがあればいい方です。

基本的に代表合宿とは上位の選手が集まり、全員が同じメニューをするだけです。

課題はそれぞれ違うのに、みんな同じです。

切磋琢磨できる、という面では素晴らしい機会ですが、

与えられた練習メニューをして、もし強くなれなくても、強くなった実感が得られなくても

それは集中力がなかった、やる気がなかった、選手が悪い、と説明されるのが代表合宿です。

なぜそのメニューをするのか一定の説明があっても、

内容を減らしたり、増やしたり、提案したりすることは禁止で、

なぜそれがダメなのか、最善なのかという説明はありません。


世界で勝つには日本でまず突出しなければなりませんが、

他と違うメニューをすることは禁止されています。選手の創意工夫は禁止されています。

みんなと同じことをすることがチームスピリットだと指導者は言いますが、

指導者たちが選手と一緒にご飯を食べることも、同じ宿舎に泊まることもありません。

文字通り「合宿」しているのは、選手だけです。

選手とコーチの関わりは基本的になく、練習中はもちろん練習後に話すこともありません。

現場に行けばどのような雰囲気かすぐわかると思いますが、

選手とコーチ以外、その雰囲気を誰も知りません。

 

それでも選手は皆世界大会に出て、経験を積みたい、

そしてオリンピックに臨みたいので、代表合宿に参加せざるをえません。

そして毎回、選考方法が不明確、不明瞭、いつの間にか決まっているので、

心証を悪くしないよう、誰も文句を言えません。

(2014年の時、私は選考でトップ通過でしたが、アジア大会に出れず、その説明もありませんでした)

 


去年、一昨年と代表合宿のメニューをやって、強くなれた選手、満足している選手はどれだけいたのでしょうか。

指導もなく、強くもなれない、なのに参加しなければ代表になれないという。

「弱い選手が文句を言うな」

と多くの方は言うでしょう。

「人のせいにするのが弱い選手の証拠だ」と。

その弱い選手が、強くなるためには

突出するためにはどうしたらいいのでしょう。

負けたら指導者に「なんで負けたんだ」と、

測定結果が悪ければ「なんで強くなれないんだ」と言われます。

私が聞きたい。

「強くなってから文句を言え」とよく言いますが、

強くなったら何も言う必要がありません。強くなったのだから。

 


今年のアジア大会では、多くの選手がメダルを逃し、アジアでは勝てる、が過去の話になりました。

アジアで6位。今までアジアで中国の次に強いのが日本だったのが、

明らかに他のアジア諸国に抜かれる結果となりました。

 

指導陣が大切にしている最大酸素摂取量という測定でも、去年よりスコアが下がったそうです。

大会結果も、測定結果も、選手の感覚としても、違和感しかない結果です。

「最善の練習メニュー」などあるわけがないのです。

リオ五輪で、ボート競技は全14種目あり、金メダルを獲った国は10カ国もあります。

イギリス3個、ドイツ・ニュージーランド2個以外、残りは1個ずつ。

水泳、柔道、レスリングでは日本がメダルを独占していますが、

そういった競技なら、何か秘密があるのかもしれません。

ですが、ボート競技に1強国という国はありません。

レース、大会が多く、競争が激しい欧米が強いことしか見出せることはなく、

どの国も一個のメダルを獲ることに必死になって試行錯誤しています。

 

あの時「正解だった」トレーニングはあっても、

これが「正解だ」と未来に向かって言えるものはないのです。

選手が、コーチが、試行錯誤し合い、議論し合い、信じ合い、手を取り合って毎日毎日

泥臭い中を突き進む、そんな過程でしか金メダルは獲れないからこそ、

各国ばらけているのではないのでしょうか。

 

 

日本代表合宿メニューを2年間やって強くなれなかった内の一人の私が

競争の多い「欧州に行こう」と思い、それも今回禁止されました。

 

そして「日本代表選考」という、

多くの選手にとって選手生命の中で非常に重要な、最も重要と言えるものを

レース1ヶ月前に公式発表するのが、ボート界です。説明はもちろんありません。

そしてどんなに良くない結果が出ても、話し合う機会もなければ合宿内容も変わらないのもボート界です。

参加は義務ですが、1日3000円選手が費用を負担しなければなりません。


いろんな競技があり、それぞれ課題を抱えているのが普通だと思います。

そしてどんな世界にも理不尽はあると思います。

その理不尽を超える強さを誰もが持たねばならないと思っています。

ですが、

東京オリンピックの出場枠がかかる世界選手権の日本代表を決める選考方法を、

1ヶ月前に発表するのは通常なのでしょうか。

どんな結果を受けても、選手の話を聞かない、「軸をぶらさない」とはどの程度なのでしょうか。

選手が弱いから、弱いのでしょうか。

多くの選手が努力しています。

みんな日本一に世界一になりたくて、そして

夢の東京五輪に向けて、これ以上ないモチベーションの中、必死に汗を流しています。

それ信じずして、コーチは何を信じるのでしょう。

選手は自分自身が弱いから、環境に対して何も言ってはいけず、

黙って、その中で強くならなければいけないのでしょうか。

黙って勝つことが美学なのかもしれませんが、

ボート競技はオリンピックに派遣して100年間メダルを獲ったことがありません。

U23(23歳未満)の世界選手権でメダルを獲った日本人選手は私を含め何人もいます。

多くの優れた選手が、黙って勝とうとして失敗した100年だったのではないでしょうか。

本当に日本で100年間、メダルを獲れる逸材が生まれてこなかったのでしょうか?

なぜヨーロッパでは毎回生まれるのでしょうか?

 

私が準優勝できた2009年U23世界選手権に出たノルウェーの選手はその時8位でしたが

前回のリオ五輪では私は15位、彼は3位になっています。

普通に抜かれました。

もちろん私の努力不足も大いにあるでしょう。

でもU23で活躍した他の選手や、その他才能溢れる選手が、シニアの世界選手権で活躍できていないのもまた、

努力不足なのでしょうか。


「アスリートファースト」でお願いしますとは全く思いません。

指導者ファーストでも協会ファーストでとも思いません。

誰かが一番という関係ではなく、

誰かが誰かの尻拭いをさせられる関係でもなく、

もちろん貶し合う関係でもなく、

お互いがお互いを励まし合い、話し合い、助け合える関係に、競技にしていけないでしょうか。

東京五輪、この時期に変わらなければ、いつ変わるのでしょう。


私は今年で31歳になり、競技生活の終わりが視野に入っています。

多くの才能ある若者が、このような100年の歴史に加わって欲しくないし、

そして私もまた、新しい歴史を作りたい。

「日本人初の快挙」という言葉が、あらゆる分野で耳にするように、

日本人がボートで金メダルを獲ることも全く不自然ではありません。

私は東京五輪で金メダルを獲りたい。

そのために最善を尽くしたい。

このブログが、日本ボート界の現状認識とその打破の一歩になることを願っています。

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